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2025.12.15
コラム
就業管理とは?基本概念から導入効果まで徹底解説
働き方改革の推進や労働法規の厳格化に伴い、企業における就業管理の重要性が高まっています。適切な就業管理は、法令遵守はもちろん、従業員の健康管理や生産性向上にも直結する重要な経営課題です。
しかし、「就業管理とは具体的に何をすることなのか」「勤怠管理とどう違うのか」「どのようなシステムを選べばよいのか」といった疑問を持つ経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、就業管理の基本概念から具体的な機能、導入メリット、システムの選び方まで、実務に役立つ情報を詳しく解説します。これから就業管理の強化を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
就業管理とは?基本概念を理解しよう
就業管理の定義と役割
就業管理とは、従業員の労働時間、出退勤、休暇取得などの就業状況を一元的に管理・監督する業務プロセスです。企業が労働基準法を遵守し、従業員の働き方を適切に把握することで、生産性向上と労働環境の改善を実現します。
現代の就業管理は、単なる勤怠記録の管理を超えて、働き方改革やテレワーク対応など、多様な働き方をサポートする重要な役割を担っています。
具体的には、以下のような業務が就業管理に含まれます。
労働時間の把握と管理
法定労働時間の遵守、時間外労働の監視、休憩時間の確保など、労働時間に関する包括的な管理を行います。2019年の労働安全衛生法改正により、労働時間の客観的な把握が義務化されたことで、その重要性はさらに増しています。
休暇管理
年次有給休暇、特別休暇、育児・介護休業など、さまざまな休暇制度の運用と管理を行います。特に年5日間の年次有給休暇取得義務化への対応は、全ての企業に求められています。
シフト管理
小売業や飲食業、医療・介護業界など、シフト勤務が必要な業種では、公平で効率的なシフト作成と管理が重要です。従業員の希望と業務ニーズのバランスを取ることが求められます。
労務リスクの予防
長時間労働や過重労働による健康障害を防ぐため、労働時間データを分析し、早期に問題を発見・対応します。メンタルヘルス対策の観点からも重要な機能です。
勤怠管理との違いとは
勤怠管理が出退勤時刻の記録に特化しているのに対し、就業管理はより包括的なアプローチを取ります。労働時間の分析、残業時間の監視、有給休暇の消化状況、シフト管理など、従業員の就業全体を戦略的に管理することが特徴です。
勤怠管理は「いつ出社して、いつ退社したか」という事実を記録することが主目的ですが、就業管理はその記録されたデータを基に、労働時間の適正化や生産性向上、法令遵守など、より高度な目的を達成するための管理手法です。
例えば、勤怠管理では「今月の残業時間は40時間」という記録にとどまりますが、就業管理では「36協定の上限に近づいているため、来月は業務配分を見直す必要がある」という判断と対策につながります。
つまり、勤怠管理は就業管理の一部であり、就業管理はより戦略的で包括的な概念と言えるでしょう。
就業管理システムの主要機能
出退勤管理機能
ICカード、生体認証、スマートフォンアプリなど、多様な打刻方法に対応した出退勤記録機能を提供します。リアルタイムでの労働時間把握により、長時間労働の防止や適切な休憩時間の確保が可能になります。
最近では、GPS機能を活用した直行直帰の打刻や、顔認証による不正打刻の防止など、テクノロジーを活用した高度な機能も登場しています。テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方に柔軟に対応できることが現代の就業管理システムには求められています。
また、打刻漏れや異常な勤務パターンがあった場合にアラートを発する機能により、管理者は迅速に対応でき、給与計算時のトラブルを未然に防ぐことができます。
休暇・有給管理機能
有給休暇の残日数管理、取得申請のワークフロー、年次有給休暇の取得義務化への対応など、休暇管理を自動化します。従業員の有給取得率向上と管理者の承認業務効率化を同時に実現します。
具体的には、入社日に応じた自動付与、繰越処理、時間単位有給の管理、半日休暇の処理など、複雑な休暇制度にも対応します。年次有給休暇の取得状況を可視化し、取得が少ない従業員には自動でリマインドメールを送信する機能もあります。
また、慶弔休暇や夏季休暇、育児・介護休業など、企業独自の休暇制度にも柔軟に対応できるカスタマイズ性が重要です。
残業・労働時間管理機能
法定労働時間や36協定の上限を超えないよう、リアルタイムで残業時間を監視します。月45時間、年360時間といった上限に近づくと、管理者に自動でアラートが送信され、過重労働を未然に防ぎます。
変形労働時間制やフレックスタイム制、みなし労働時間制など、複雑な労働時間制度にも対応し、正確な労働時間の集計が可能です。
シフト管理機能
複雑なシフトパターンの作成、従業員の希望シフト収集、自動シフト作成、シフト変更の管理など、シフト業務全体を効率化します。
人員配置の最適化機能により、必要な人数を適切に配置し、人件費の最適化と従業員の負担軽減を両立できます。急な欠勤や変更にも柔軟に対応できる機能が求められます。
給与システム連携機能
集計された勤怠データを給与計算システムに自動で連携することで、給与計算業務を大幅に効率化します。手入力によるミスを防ぎ、正確な給与計算が可能になります。
残業手当、深夜手当、休日手当など、複雑な割増賃金の計算も自動化され、給与計算担当者の負担を大幅に軽減します。
分析・レポート機能
蓄積された就業データを分析し、部署別の残業時間推移、有給取得率、労働生産性など、さまざまな切り口でレポートを作成します。
これらのデータは、人事戦略の立案や業務改善の根拠として活用でき、データドリブンな人事管理を実現します。
就業管理導入のメリット・効果
業務効率化への貢献
就業管理システムの導入により、手作業による集計時間を約80%削減できるとされています。自動計算機能により給与計算の精度向上と処理時間短縮を実現し、人事担当者はより戦略的な業務に集中できます。
従来、Excelやタイムカードで管理していた企業では、月末の集計作業に膨大な時間を費やしていました。就業管理システムを導入することで、リアルタイムで労働時間が集計され、月末の締め作業が大幅に簡素化されます。
また、承認ワークフローの電子化により、休暇申請や残業申請の承認作業もスムーズになり、紙の書類を回覧する手間がなくなります。外出先からでもスマートフォンで承認できるため、意思決定のスピードも向上します。
コンプライアンス強化
労働基準法改正に伴う36協定の上限規制や年次有給休暇の取得義務化に対応できます。法令違反リスクを軽減し、労働基準監督署の調査にも迅速に対応可能な体制を構築できます。
特に2019年の働き方改革関連法施行以降、労働時間管理の重要性は格段に高まっています。違反した場合、罰則や企業名の公表などのペナルティがあるため、システムによる確実な管理が不可欠です。
就業管理システムは、法改正にも迅速に対応したアップデートが提供されるため、常に最新の法令に準拠した管理が可能です。
従業員の働きやすさ向上
スマートフォンからの打刻や休暇申請、自分の労働時間や有給残日数の確認など、従業員自身が就業状況を簡単に把握できるようになります。
透明性の高い就業管理は、従業員の満足度向上にもつながります。自分の働き方を客観的に把握できることで、ワークライフバランスの改善意識も高まります。
データに基づく経営判断
蓄積された就業データを分析することで、人員配置の最適化、残業削減施策の効果測定、生産性の可視化など、データに基づいた経営判断が可能になります。
どの部署で長時間労働が発生しているか、どの時期に人手が不足しているかなど、課題を定量的に把握できるため、効果的な対策を講じることができます。
コスト削減効果
不正打刻の防止、残業時間の適正化、給与計算ミスの削減など、就業管理システムは多方面でコスト削減に貢献します。
就業管理システムの選び方のポイント
企業規模に応じた機能選択
中小企業では基本的な出退勤管理から始め、大企業では複雑なシフト管理や多拠点対応が必要です。将来的な組織拡大も考慮し、スケーラブルなシステムを選択することが重要です。
従業員数が少ない段階では、シンプルで使いやすいクラウド型サービスが適しています。一方、数百人以上の規模になると、部署別の管理や複雑な勤務形態への対応が必要になります。
また、今後の事業拡大や働き方の変化にも柔軟に対応できるよう、機能追加やカスタマイズが容易なシステムを選ぶことをおすすめします。
既存システムとの連携性
給与計算システム、人事管理システム、会計システムなど、既存のシステムとスムーズに連携できるかを確認しましょう。API連携やデータエクスポート機能の充実度が重要です。
特に給与計算との連携は必須です。勤怠データを手作業で給与システムに入力し直すのでは、効率化の効果が半減してしまいます。
導入コストと運用費用の検討
初期導入費用だけでなく、月額利用料、カスタマイズ費用、サポート費用を総合的に評価しましょう。ROI(投資収益率)の観点から、業務効率化による人件費削減効果と比較検討することが大切です。
クラウド型は初期費用が抑えられ、月額課金制のため予算管理がしやすいメリットがあります。一方、オンプレミス型は初期投資が大きいものの、長期的にはコストを抑えられる場合もあります。
また、見えにくいコストとして、従業員への教育費用や、システム導入時の業務フロー見直しにかかる工数も考慮に入れる必要があります。
使いやすさとサポート体制
どんなに高機能でも、従業員が使いこなせなければ意味がありません。直感的に操作できるUIや、マニュアル不要で使える設計が理想的です。
また、導入時の設定支援、運用開始後のサポート体制、トラブル時の対応スピードも重要な選定ポイントです。電話やチャットでのサポート、オンラインマニュアルの充実度を確認しましょう。
セキュリティ対策
従業員の個人情報や勤務データを扱うため、高度なセキュリティ対策が施されているか確認が必要です。
データの暗号化、アクセス権限管理、定期的なバックアップ、第三者認証(ISMSやプライバシーマークなど)の取得状況をチェックしましょう。特にクラウド型の場合、データセンターのセキュリティレベルも重要です。
就業管理システム導入の流れ
1. 現状分析と課題抽出
現在の就業管理の問題点を洗い出し、システム導入で解決したい課題を明確にします。担当者だけでなく、現場の従業員の声も集めることが重要です。
2. 要件定義とシステム選定
必要な機能をリストアップし、複数のシステムを比較検討します。デモンストレーションを受けたり、無料トライアルを活用して、実際の使用感を確認しましょう。
3. 導入準備とテスト運用
マスタデータの整備、既存データの移行、従業員への説明会を実施します。本稼働前に1〜2ヶ月のテスト運用期間を設け、問題点を洗い出します。
4. 本稼働と定着化
本稼働後も定期的にフォローアップを行い、使いこなせていない機能がないか確認します。ヘルプデスクを設置し、従業員からの質問に迅速に対応することで、定着を促進します。
よくあるご質問
Q: 小規模企業でも就業管理システムは必要ですか?
A: 従業員数に関わらず、労働基準法の遵守は必須です。むしろ、人事担当者が少ない小規模企業こそ、システムによる効率化の恩恵が大きいと言えます。小規模企業向けのクラウドサービスなら、月額数千円から導入できるものもあり、費用対効果は十分に見込めます。
Q: テレワークにも対応できますか?
A: 現代の就業管理システムは、スマートフォンやPCからの打刻に対応し、在宅勤務の管理も可能です。GPS機能による位置情報記録や、作業内容の報告機能など、テレワーク特有の課題にも対応したシステムが増えています。
Q: 導入にどのくらいの期間がかかりますか?
A: 企業規模やシステムの複雑さにもよりますが、一般的には準備期間1〜2ヶ月、テスト運用1ヶ月、本稼働という流れで、合計2〜3ヶ月程度が目安です。年末調整や繁忙期を避けて導入スケジュールを組むことをおすすめします。
Q: 既存の給与システムとの連携は可能ですか?
A: 多くの就業管理システムは、主要な給与計算システムとの連携機能を備えています。API連携やCSVファイルでのデータ出力など、様々な連携方法があるため、既存システムとの互換性を事前に確認しましょう。
Q: クラウド型とオンプレミス型、どちらを選ぶべきですか?
A: 初期投資を抑えたい、自動アップデートで常に最新機能を使いたい場合はクラウド型が適しています。一方、独自のカスタマイズが必要、社内にサーバーを持ちたい場合はオンプレミス型が向いています。現在はクラウド型を選択する企業が主流です。
まとめ
就業管理は、単なる出退勤記録の管理ではなく、従業員の働き方全体を最適化し、企業の生産性向上と法令遵守を実現する重要な経営基盤です。
適切な就業管理システムの導入により、業務効率化、コンプライアンス強化、従業員満足度向上など、多面的なメリットを享受できます。特に働き方改革の推進や多様な働き方への対応が求められる現代において、システムによる就業管理の重要性はますます高まっています。
システム選定では、自社の規模や業種、課題に合った機能を持つものを選び、段階的に導入することが成功の鍵です。初期費用だけでなく、長期的な運用コストや業務効率化効果を総合的に評価し、最適なシステムを選択しましょう。
まずは複数のシステムの資料請求やデモンストレーションを受けて、自社に最適な就業管理システムを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。適切な就業管理の実現は、従業員の働きやすさと企業の持続的成長の両立につながります。
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