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2025.12.18

コラム

書類電子化とは?基本概念と導入メリットを徹底解説

オフィスに溢れる紙の書類、探すのに時間がかかる資料、増え続ける保管スペース──これらの課題に悩まされている企業は少なくありません。デジタル化が進む現代において、紙書類の管理は業務効率を低下させる大きな要因となっています。

そこで注目されているのが「書類の電子化」です。紙書類をデジタルデータに変換することで、業務効率の向上、コスト削減、セキュリティ強化など、多くのメリットを得ることができます。

本記事では、書類電子化の基本概念から具体的な方法、導入メリット、法的要件、実施ステップまで詳しく解説します。これから書類の電子化を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

 

書類の電子化とは

書類の電子化とは、紙で管理していた文書をデジタルデータに変換し、コンピューター上で管理・活用できるようにする取り組みです。契約書、請求書、会議資料などあらゆる書類をPDFやその他のデジタル形式に変換することで、業務の効率化と生産性向上を実現します。

単に紙をスキャンしてデジタル化するだけでなく、検索可能な状態にしたり、適切に分類・整理したり、必要な人がいつでもアクセスできる環境を構築することが、真の意味での書類電子化と言えます。

近年、働き方改革やリモートワークの普及により、場所を問わず書類にアクセスできる環境の必要性が高まっています。また、2022年の電子帳簿保存法改正により、企業における電子化の重要性はさらに増しています。

 

電子化の対象となる主な書類

契約書類
取引基本契約書、秘密保持契約書、業務委託契約書など、法的に重要な書類です。長期保管が必要で、検索性の向上が特に有効です。

経理・会計書類
請求書、領収書、見積書、納品書など、電子帳簿保存法の対象となる書類です。税務調査への対応も考慮した電子化が求められます。

人事・労務書類
雇用契約書、履歴書、勤怠記録、給与明細など、個人情報を含む重要書類です。セキュリティ対策が特に重要です。

社内資料
会議資料、報告書、マニュアル、申請書など、日常業務で使用する書類です。共有のしやすさが電子化の大きなメリットとなります。

顧客情報
顧客台帳、問い合わせ記録、商談記録など、営業活動に関わる書類です。迅速なアクセスが顧客対応の質向上につながります。

 

書類を電子化する主な方法

スキャナーによる電子化

既存の紙書類をスキャナーでデジタル化する最も一般的な方法です。高速スキャナーを使用することで、大量の書類を短時間で処理できます。OCR(光学文字認識)機能付きスキャナーなら、文字検索も可能になります。

 

スキャナーの種類と選び方

フラットベッドスキャナー
1枚ずつスキャンするタイプで、品質が高く、製本された書類や厚みのある書類にも対応できます。処理スピードは遅いため、少量の書類向きです。

シートフィードスキャナー
自動給紙機能により、連続して大量の書類をスキャンできます。業務用途では最も一般的なタイプです。両面同時スキャン機能があると効率的です。

複合機のスキャン機能
既存のオフィス複合機を活用する方法です。追加投資が不要で、ネットワーク経由で直接サーバーやクラウドに保存できます。

 

OCR技術の活用

OCR(光学文字認識)技術を使うことで、スキャンした画像内の文字をテキストデータに変換できます。これにより、キーワード検索が可能になり、書類の活用性が大幅に向上します。

ただし、手書き文字や古い書類、画質の悪い文書では認識精度が下がるため、重要書類は人の目でチェックすることが推奨されます。

 

クラウドサービスの活用

Google DriveやDropbox、Microsoft OneDriveなどのクラウドサービスを利用して、書類をオンライン上で管理する方法です。スマートフォンのカメラ機能を使って手軽に書類をデジタル化できる点が魅力です。

 

クラウドサービスのメリット

  • 場所を問わずアクセス可能:インターネット環境があれば、オフィス外からでも書類を確認できます
  • 自動バックアップ:クラウド上にデータが保存されるため、災害時や機器故障時でもデータが失われません
  • 共有が容易:リンクを送るだけで書類を共有でき、複数人での同時編集も可能です
  • コスト効率:初期投資が少なく、使用量に応じた従量課金制のため、スモールスタートできます

 

文書管理システム(DMS)の導入

Document Management System(DMS)と呼ばれる専門的な文書管理システムを導入する方法です。大企業や文書管理が複雑な組織に適しています。

高度な検索機能、バージョン管理、承認ワークフロー、アクセス権限の細かな設定など、企業の文書管理に必要な機能が網羅されています。

 

スマートフォンアプリの活用

Adobe Scan、Microsoft Lens、CamScannerなど、スマートフォンで書類をスキャンできるアプリが多数あります。

外出先で受け取った名刺や領収書を即座にデジタル化でき、専用スキャナーがなくても手軽に電子化を始められます。AI技術により、自動的に書類の輪郭を認識し、斜めから撮影しても補正してくれる機能もあります。

 

書類電子化の導入メリット

業務効率の向上

書類電子化により、必要な文書を瞬時に検索・閲覧できるようになります。物理的な書類探しにかかる時間を大幅に短縮し、年間約30%の作業時間削減が期待できます。

従来、特定の書類を探すのに数分から数十分かかっていたものが、キーワード検索により数秒で見つかるようになります。この時間短縮効果は、組織全体で見ると膨大な生産性向上につながります。

また、複数人が同時に同じ書類にアクセスできるため、「この書類を使っているので待ってください」という非効率な状況も解消されます。

 

コスト削減効果

印刷費用、用紙代、保管スペースの賃料などを削減できます。中小企業では年間約50万円、大企業では数百万円から数千万円のコスト削減事例も報告されています。

 

具体的な削減項目

  • 用紙・印刷コスト:紙、トナー、インク代が不要になります
  • 保管スペース:書庫や倉庫の賃料が削減できます
  • 郵送・配送コスト:電子メールやクラウド共有により、書類を郵送する必要がなくなります
  • 人件費:書類整理や管理にかかる人的コストが削減されます
  • ファイル・バインダー代:物理的な保管用品の購入費用が不要になります

 

セキュリティの強化

アクセス権限設定やバックアップ機能により、紛失や情報漏洩リスクを大幅に軽減できます。

紙書類は紛失や盗難のリスクがありますが、電子化すればアクセスログの記録、閲覧権限の制限、暗号化など、多層的なセキュリティ対策が可能です。

また、定期的な自動バックアップにより、火災や水害などの災害時でもデータを保護できます。重要書類のBCP(事業継続計画)対策としても有効です。

 

リモートワーク・テレワーク対応

クラウド上で書類を管理すれば、場所を問わず業務が可能になります。コロナ禍以降、リモートワークが一般化する中、書類の電子化は必須の取り組みとなっています。

「この書類を確認するためだけに出社する」といった非効率な状況を解消し、柔軟な働き方を実現できます。

 

環境への配慮(SDGs対応)

紙の使用量削減は、森林資源の保護とCO2排出量の削減につながります。企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとしても評価されます。

環境意識の高い顧客や取引先からの評価向上にもつながり、企業イメージの向上効果も期待できます。

 

コンプライアンスの向上

文書の保管期間管理、アクセスログの記録、改ざん防止など、法令遵守に必要な機能を備えた電子化により、コンプライアンス体制を強化できます。

電子帳簿保存法など、法的要件を満たした電子保存により、税務調査への対応もスムーズになります。

 

書類の電子化に関係する法的要件

電子帳簿保存法により、税務関係書類の電子保存が認められています。ただし、真実性の確保やタイムスタンプの付与など、一定の要件を満たす必要があります。

 

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。2022年1月に改正法が施行され、電子取引データの電子保存が義務化されました。

 

保存方法の区分

  • 電子帳簿等保存:最初から電子的に作成した帳簿・書類をそのまま電子保存する方法です
  • スキャナ保存:紙で受け取った書類をスキャンして電子保存する方法です。一定の要件を満たせば、原本の破棄が可能になります
  • 電子取引データ保存:電子メールやEDI取引など、電子的に授受した取引情報を保存する方法です。2024年1月以降は完全義務化されています

 

電子保存の要件

  • 真実性の確保:タイムスタンプの付与、訂正削除履歴の保持、訂正削除不可能なシステムでの保存などが求められます
  • 可視性の確保:検索機能の確保、ディスプレイ・プリンターの備え付け、税務職員の求めに応じたダウンロード対応などが必要です
  • 保存期間:原則として7年間(法人税法上)の保存が必要です

 

その他の関連法規

  • e-文書法:民間事業者における書面の保存に代わる電子化を容認する法律です
  • 個人情報保護法:個人情報を含む書類の電子化では、適切な安全管理措置が求められます
  • 電子署名法:電子署名やタイムスタンプの法的効力を定める法律です

 

今保有する書類を電子化するためのステップ

1. 現状の書類整理

まず保有書類の種類と量を把握し、電子化の優先順位を決定します。頻繁に参照する書類から着手することが効果的です。

 

書類の分類

  • すぐに電子化すべき書類:使用頻度が高い、複数人で共有する、検索性が重要な書類
  • 計画的に電子化する書類:保管義務がある、一定期間保存が必要な書類
  • 電子化不要な書類:法的に原本保管が必要な書類、保存期間が過ぎた書類(廃棄対象)

 

2. 電子化ツールの選定

業務規模と予算に応じて適切なスキャナーやソフトウェアを選択します。月間処理量が1000枚以下なら複合機、それ以上なら専用スキャナーがおすすめです。

 

選定のポイント

  • 処理能力:月間の電子化予定枚数に対応できるか
  • 画質:文字が鮮明に読み取れるか(解像度300dpi以上推奨)
  • OCR機能:検索可能な形式で保存できるか
  • 原稿サイズ対応:A3やそれ以上のサイズに対応が必要か
  • 両面スキャン機能:効率的に作業できるか
  • ネットワーク機能:直接サーバーやクラウドに保存できるか

 

3. 命名規則とフォルダ構成の決定

電子化した書類を効率的に管理するため、統一された命名規則とフォルダ構成を事前に決めます。

命名規則の例:「日付_書類種別_取引先名_内容.pdf」
(例:20250115_請求書_ABC商事_1月分.pdf)

フォルダ構成:部署別、年度別、書類種別など、検索しやすい構造にします。

 

4. スキャン作業の実施

決定した手順に従って、実際にスキャン作業を行います。大量の書類がある場合は、段階的に進めることが重要です。

 

作業のコツ

  • ホチキスやクリップは外す:スキャナーの故障や紙詰まりを防ぎます
  • 付箋は剥がす:スキャン品質の低下を防ぎます
  • 破れた書類は補修:セロテープで補修してからスキャンします
  • 定期的な品質チェック:スキャン漏れや画質不良がないか確認します

 

5. データの整理と保存

スキャンしたデータを適切なフォルダに保存し、必要に応じてメタデータ(作成日、作成者、タグなど)を付与します。

バックアップも忘れずに実施し、クラウドと社内サーバーの両方に保存するなど、二重化することを推奨します。

 

6. 原本の処理

電子化後の原本の取り扱いを決定します。電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、多くの書類は原本を破棄できます。

ただし、契約書など法的に原本保管が必要な書類や、取引先との合意が必要な書類は慎重に判断します。一定期間は原本を保管し、問題がないことを確認してから破棄する方法も有効です。

 

7. 運用ルールの策定と周知

電子化後の運用ルール(保存場所、命名規則、アクセス権限、更新方法など)を明文化し、全社員に周知します。

定期的な研修や、マニュアルの整備により、ルールの定着を図ります。

 

文書電子化サービスの活用

自社での書類電子化が困難な場合は、専門業者への外注も有効です。大量の書類を短期間で処理でき、品質も保証されます。

 

電子化代行サービスのメリット

  • 専門性と品質:プロの技術により高品質なスキャンが保証されます
  • スピード:専用機材と豊富な人員により、短期間で大量の書類を処理できます
  • 機材投資不要:高価なスキャナーを購入する必要がなく、初期投資を抑えられます
  • セキュリティ:プライバシーマーク取得企業など、セキュリティ体制が整った業者を選べば安心です

 

外注時の注意点

  • 機密保持契約:重要書類を扱う場合は、しっかりした秘密保持契約を締結します
  • 納品形式の確認:ファイル形式、命名規則、フォルダ構成など、自社の要件に合った形式で納品されるか確認します
  • 原本の取り扱い:作業後の原本の返却方法や処分方法を明確にします
  • 費用体系:1枚あたりの単価、最低料金、OCR処理の追加費用などを確認します。一般的な相場は1枚10〜50円程度です

 

電子化後の運用と管理

定期的なメンテナンス

電子化は一度行えば終わりではありません。新しい書類の電子化、不要になった書類の削除、フォルダ構成の見直しなど、定期的なメンテナンスが必要です。

 

セキュリティ対策

アクセス権限の定期的な見直し、パスワードの変更、不正アクセスのログ監視など、継続的なセキュリティ対策を実施します。

 

バックアップ体制

定期的な自動バックアップの設定、複数箇所へのバックアップ(クラウドと社内サーバーなど)、復元テストの実施などを行います。

 

電子化の失敗例と対策

よくある失敗例

失敗例1:命名規則が統一されず、検索できない
対策:事前に明確な命名規則を決定し、全社員に周知徹底します。

失敗例2:スキャン品質が悪く、文字が読めない
対策:適切な解像度設定(300dpi以上)、定期的な品質チェック、専用スキャナーの使用を検討します。

失敗例3:保存場所がバラバラで管理できない
対策:集中管理できるシステムの導入、保存場所のルール化を行います。

失敗例4:社員が使い方を理解せず、定着しない
対策:段階的な導入、丁寧な研修、マニュアルの整備、問い合わせ窓口の設置などを行います。

 

まとめ

書類の電子化は、業務効率化とコスト削減を同時に実現する重要な取り組みです。検索性の向上、保管スペースの削減、リモートワーク対応、セキュリティ強化など、多面的なメリットがあります。

適切な方法と手順で進めることで、デジタル化のメリットを最大限に活用できます。まずは使用頻度の高い書類から小規模に始め、徐々に範囲を拡大していく段階的なアプローチが成功の鍵です。

電子帳簿保存法への対応も含め、法的要件を満たした電子化を行うことで、コンプライアンス体制の強化にもつながります。自社での実施が難しい場合は、専門業者への外注も有効な選択肢です。

書類の電子化は、単なるペーパーレス化ではなく、業務プロセス全体のデジタル化・効率化につながる重要な第一歩です。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けて、今すぐ書類の電子化に取り組んでみませんか?

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