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性同一性障害職員 女性用トイレ「使用制限」は違法

  • 投稿日:2023/8/2
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経産省 性同一性障害職員
女性用トイレ 「使用制限」は違法

経済産業省(以下「経産省」と表記) で働く性同一性障害の職員が、 女性用トイレの使用を制限されているのを不服とした裁判で、最高裁判所は7月11日「国による使用制限は違法」と判断しました。

職員は、執務階とその上下階の女性用トイレの使用が認められていませんでした。最高裁判所が性的マイノリティーの労働者の就業環境について判断するのは初めてであり、今後の民間企業の対応に影響を与えると見られています。



 

事案の概要

原告は平成7(1995) 年に経産省に入省した国家公務員で、生物学的な性は男性ですが、平成11(1999) 年に性同一性障害の診断を受け、平成20(2008)年より私生活では女性として暮らし始めました。
平成21(2009) 年7月に上司に自分の性同一性障害を伝え、女性の服装での勤務と女性用トイレの使用を申し出ました。なお、健康上の理由から性別適合手術は受けていませんでした。

経産省は原告の了承を得て、同僚らを対象とした説明会を開催したところ、数人の女性職員が原告の女性用トイレ使用に違和感を抱いたように見受けられました。これを受けて、経産省は原告の執務階とその上下階の女性用トイレの使用を認めず、2階以上離れた階の女性用トイレを使用する決定をしました。
原告は女性用トイレの使用その他についても女性職員と同じ待遇を人事院に求めましたが、人事院がいずれの要求も認めなかったため、人事院の決定取消を求める裁判を提起しました。

第一審では人事院の判断を違法、第二審では適法と判断し、最高裁判所は「人事院の決定は裁量権の逸脱・濫用にある」として違法と評価しました。

 

違法評価のポイント

最高裁判所は、以下のように整理しました。

●原告の2階以上離れた女性用トイレ使用について、具体的なトラブルは発生しておらず、説明会でも明確な反対意見は出なかった。

他の職員に対する配慮を過度に重視し、原告の不利益を過度に軽視した対応である。



情報元:提携先  北桜労働法務事務所ニュース