株式会社アソウ・アカウンティングサービス

就業規則に「無断欠勤が14日以上におよぶ場合は懲戒解雇とする」とあるが欠勤15日目に懲戒解雇できる?

  • 投稿日:2024/2/8
  • カテゴリ:

    新着情報



Q:ミスを叱責された社員が、突然出勤しなくなり音信不通状態になりました 。就業規則に「無断欠勤が14日以上におよぶ場合は懲戒解雇とする」旨の定めがあります。欠勤15日目に懲戒解雇してもよいでしょうか?

A:普通解雇の際には「解雇予告」が、懲戒処分の際には懲戒(賞罰)委員会にて被懲戒労働者に「弁明の機会」を付与することが必要です。 いずれも音信不通であれば実施できませんので、音信不通の労働者を解雇することは困難です。
 

1.懲戒解雇では「弁明の機会」付与が必要

懲戒処分を実施する場合は、どのような落ち度が被懲戒労働者にあったとしても、被懲戒労働者に「弁明の機会」を付与することが求められます。
「弁明の機会」を付与せず処分した場合は、当該処分は司法判断で無効となります。したがって、音信不通の労働者に懲戒処分の手続はできません。


2.普通解雇でも「解雇予告」が必要

懲戒解雇ではなく普通解雇手続であっても、解雇には「解雇予告」が必要です。
解雇予告は、その内容が労働者に到達しなければ意味がありません。
労働者に直接口頭で告知する、労働者に書面を交付する、などが代表的な予告方法ですが、住んでいる気配がない場合はたとえ書面が住居の玄関ポストに投函されても労働者に到達していませんので、当該書面による予告は無効となる可能性が高いです。
なお家族の善意であっても家族が作成した退職願は無効です。

 

3.公示送達

通知したい相手方が行方不明の場合に利用されるのが公示送達という手続です。
労働者の最後の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てて、通知内容を裁判所に2週間掲示してもらうことで、法律上、解雇予告が労働者に到達したとみなす手続です。
この手続を実行する場合は、相手方が行方不明であることを念入りな現地調査(水道メーターやガスメーターの写真添付、返送されてきた郵便物等提出)によって証明し、弁護士や司法書士に依頼して手続していただくことになります。


4.音信不通となって一定期間が経過すると自動退職とする

解雇ではなく、就業規則に「音信不通となり行方が知れず◎◎日出勤しない場合は、最終出勤日に遡及して退職したとみなす」旨を定めると、予告等は不要で、◎◎日経過後に自己都合退職として離職手続をとることができます(ハローワークでは就業規則と欠勤を証明する出勤簿等を示せば雇用保険被保険者資格を自己都合退職で喪失できます )。
このような就業規則の定めをすることも、ぜひ ご検討ください。



情報元:提携先  北桜労働法務事務所ニュース